> 放射性物質とたたかう
アップルペクチンの効用 -2011年06月28日
セシウムの体外への排出に効果があるとされるアップルペクチンは、チェルノブイリ原発事故後に主として子供たち投与され、その効果が実証されています。この効果を検証する数々の論文が発表されています。
Annals of the New York Academy of Science 1181:303-310.2009 に掲載された論文「チェルノブイリ地区の放射性物質からの開放」(13. Decorporation of Cherrnobyl Radionucleides)V.B. ネステレンコ、 A.V. ネステレンコ(Institute of Radiation Safty) (BELRAD 研究所)Belarus
については、田澤賢次(富山医科薬科大学 名誉教授)氏による翻訳がありました。
「要約
他国で健康管理と医療を受けるために、毎年数万人のチェルノブイリの子供達が(殆どがベラルーシ地区から)祖国を後にした。歴史的にみても最もひどい大災害の現実をできるだけその被害を少なくするために、多くの国からの医師達は極度に汚染されたChernobly 領域で働いている。しかし、災害の現実の規模と様態はとてつもなく大きく、チェルノブイリのような大災害に対しては世界中のどの国であっても一国では長期的に対処することが不可能である。
プライベート・ファンドとイニシアチブだけでなく国連と他の国際機関を通しての援助に対しては、被害を被った国々、特にウクライナ市とベラルーシ市は感謝の意を表している。Chernobly 事故から22 年後でも、ベラルーシ市、ウクライナ市、およびヨーロッパロシアのひどく汚染された地域における年間の個々の線量限度は、まさに局所的に汚染された製品を避けることができない消費のために1mSv/年を越えている。
BELRAD 研究所の11 年の経験は、子供達のため効果的な被曝予防のためには放射線の干渉を公式な危険限界(例えば15-20Bq/kg)の30%に設定することが必要であることを示している。ひどく汚染されたBelarussian 地域の住民の身体中のCs-137 の全身蓄積を直接測定すると、公式に認められている量より年間では少なく見積っても3 倍から8 倍の過量を示している。
実際的には、特にアップルペクチン添加食品を摂取することによる治療効果ではCs-137 の除去効果に効率的に役立っている可能性がある。
1996 年から2007 年に亘り160,000 人を超えるBelarussian の子供達に、18 日から25 日の期間にペクチン添加食品物(1 日に5g を2 回投与)を治療目的で服用させた。
放射性物質に汚染された食物の消費が不可避の状況下にある環境では、個々の人々の放射線防護(放射性物質からの開放)のためには、様々なペクチンベースの食品添加物と飲み物(りんご、干しぶどう、海草などの使用による)を製造し、それを応用することが最も効果的な方法の1 つである。」
「ひどく汚染された地域における年間の個々の線量限度は、まさに局所的に汚染された製品を避けることができない消費のために1mSv/年を越えている」とは、まさに福島原発事故を経験している日本の状況と同じです。
しかも、「子供達のため効果的な被曝予防のためには放射線の干渉を公式な危険限界(例えば15-20Bq/kg)の30%に設定することが必要」といいますと、現在の日本の「暫定基準値」がいかに高く設けられているかがわかります。
ドイツ放射線防護協会も、今回の福島原発事故を受けて、
「乳児、子ども、青少年に対しては、1kg あたり4Bq 以上の基準核種セシウム137 を含む飲食物を与えないよう推奨されるべきである。
成人は、1kg あたり8Bq 以上の基準核種セシウム137 を含む飲食物を摂取しないことが推奨される。」
としています。
さて、冒頭に述べた論文では、下記のように報告されています。
「放射性物質に汚染された状況下にある住民の身体より放射性物質を減少させるには三つの方法が存在する:一つは食べ物に集積された放射性物質量を減少させること、二つ目は人々の身体から放射性物質の除去をさらに効率よくすること、三つ目は人間の免疫力を刺激して更に自然治癒能力を高める方法である。」
「13.1. 食べ物に集積された放射性物質量の減量について
水、キノコと野菜などの食物を水に浸す、茹でる、塩漬け、および酸漬けにすることやミルクとチーズの中の脂肪を処理することで食物の中で放射性核種の量を数倍減らすことが可能である。我々の放射線に対する抵抗力を高めることのできる食品等を食べることによって身体の持っている自然治癒能力を刺激することは非常に有効である。このような食品類の中にはフリーラジカルを消去できるビタミンA,C、それに微量ミネラルのI、Cu、Zn、Se、Co 等の抗酸化作用物質が含まれている。このような食品は放射線によって生じる過酸化脂質などの組織の酸化を予防してくれる。
種々の食品やサプリメントは免疫系を刺激する、例えば小麦、海草(スピルリナ)、松葉、菌糸およびその他の植物の芽などである。
放射性核種の排出を促すために次の三つの方法が実行されてきた(Rudnev et
al.,1995;Trakhtenberg,1995; Leggett et al., 2003)。
・ 放射性核種の排出を促進するために食べ物の安定的な要素を増やす。例えばCs の排泄を促すにはK, Rb など;Sr の排泄のためにはCa;Pu の取り込みを抑えるには三価のFe などである
・ 放射性核種を吸着できる食品類の開発
・ 放射性核種を洗い流すことのできる液体で排出増加を計る;食物繊維の豊富な食品と同様の働きをするように工夫した点滴液、ジュース類や他の液体類などである。」
「13.2. ペクチン含有経口摂取食品による放射性核種除去の成績
ペクチンは消化管の中においてCs に化学的にイオン結合することが良く知れれており、便の排泄量の増加をもたらす。Ukraine の放射線医学センターによる研究と成果(Porakhnyak-Ganovska,1998)、また、Belarussian 研究所の放射線医学と内分泌学の専門家(Gres et al.,1997)は次のように結論をだしている。即ち、Chernobly で汚染された地域の住民の食物にペクチンを加えた食品を摂取することで蓄積された放射性核種の効果的な排出を促進するという成績を発表している。
1. 1981 年に、2 年間の臨床試験に基づいて、食品添加物について世界保健機構(WHO)と国連とAgriculuture 組織(FAO)の合同委員会はペクチンを含む経口摂取食品は毎日経口摂取することにより効果的であり、無害であると宣言した(WHO、1981年)。
2. Ukraine とBelarus において、種々のペクチンを基本にした製品を用いて蓄積した放射性核種の排泄にどのように関わるかについて長い間研究している(Gres’1997; Ostapenko, 2002; Ukrainian Institute, 1997)。Zosterin-Ultra として知られる水中に生存する植物(Zoslera)由来のペクチン含有製品はロシア原子力産業省において使用されている一般予防薬である。この吸収しないペクチンは血液注入用としてはゾステリン注射として用いられ、栄養学的にもまた代謝系にも無害のものである。
経口摂取用としての液体Zosterin-Ultra はUkrainian Ministry of Health(1999)によって、経口食品と静脈注射用として用いることのできる生物学的作用を有する,治療的食品として承認された。
3. 1996 年に、BELRAD 研究所は、ペクチン含有食品物(Medetopect,,フランス;Yablopect、ウクライナ)を、Cs-137 の排出を早めるためにその治療試験を開始した。
1999 年BELRAD 研究所は、”Hermes”Hmbh(ミュンヘン、ドイツ)と一緒に開発した、Vitapect 粉末として知られているアップルペクチン添加物を作り上げた。それはBELRAD 研究所によるとペクチン含有量が18%-20%から構成されていて、ビタミンB1、B2、B6、B12、ビタミンC、ビタミンE、ベータ・カロチン、葉酸から成っている;微量元素としてはK、Zn、Fe およびCa を補強し、そして香辛料を加えたものである。2000 年以来よりBelarussian 厚生省により承認されて生産されている。
4. 2001 年6 月から7 月にBELRAD 研究所は、シルバースプリングス保養地(Svertlogorsk 市、ゴーメリ州)の「ベラルーシのチェルノブイリの子供」協会(フランス)と共に、体内被曝を被った615 人を対象に、3 週間の期間を定めて非機能の食品摂取群(Placebo)をコントロールとしてVitapect(1 日に2 回の5g 摂取)を服用した群とのダブルブラインドの研究を実施した。Vitapect(クリーンな食物とともに)を服用している子供では、Cs-137 レベルは、クリーンな食物のみを服用した群の対照群よりずっと効果的に下降した (Table 13.1 とFigure 13.1)。」


次に、別の論文を示します。
Relationship between Caesium (137Cs) load, cardiovascular symptoms, and source of food in “Chernobyl” children – preliminary observations after intake of oral apple pectinG. S. Bandazhevskaya, V. B. Nesterenko, V. I. Babenko, I. V. Babenko, T. V. Yerkovich, Y. I. Bandazhevsky
Institute of Radiation Safety Belrad, Minsk, Republic of Belarus
グループ1が体内セシウム量が体重1kg当たり5ベクレル以下の子供たち、グループ2が38ベクレル前後の子供たち、 グループ3が122ベクレル前後の子供たち。16日間にわたりグループ2と3の子供たちにアップルペクチンを服用させた結果、体内のセシウムの量が、グループ2では39% 減少、グループ3では28%減少となったことを示しています。

次に、さらに他の論文を示します。
Reducing the 137Cs-load in the organism of “Chernobyl” children with apple-pectin
V. B. Nesterenko, A. V. Nesterenko, V. I. Babenko, T. V. Yerkovich, I. V. Babenko

上図は、3週間、アップルペクチンを服用した人たちそれぞれの、体内セシウム量の減少を示します。
下図は、同じ条件で、アップルペクチンを服用しなかった人たちそれぞれの、体内セシウム量の減少を示します。
排泄、新陳代謝等によって自然に減少していますが、上図の方が減少が早いことがわかります。

ペクチンは、果実の実と皮との間に多く含まれます。
リンゴでは、熟したものや、焼きりんごなどにより多く含まれます。
リンゴ以外にも、モモ、イチゴ、ブドウ、プルーン、切干大根などにも多く含まれます。
りんごペクチン(アップルペクチン)については、当サイトにおいて紹介ページを設けました。
食生活のバランスを考え、本来は自然の食品から摂取する方が望ましく、サプリメントは、それで足りないところを補うためのものといえますが、手短に一定量を摂取するのにはよいともいえます。
体内に入った放射性物質とたたかう -2011年06月18日
飲食や呼吸によって、体内に放射性物質が入りこんでしまったとき、放射性物質の種類により、排泄や代謝によっても、自然に体外に排出されていきます。
一方、ヨウ素1311のように、物理的半減期が短いものは物質それ自体が他の物質に変わることで減っていきます。
体内の放射能とたたかうには、まず体内に放射性物質が入るのを抑制すること、入ってしまった放射性物質が体外に排出されるのを促進すること、体内の放射性物質が出す放射線に抵抗する力を高めること、があります。
福島第一原発事故に即して述べますと、いまのところ、初期にはヨウ素131が多く放出されました。ヨウ素131の物理的半減期は8日ですが、排泄や代謝により自然に体外に排出される生物学的半減期は120日以上と長く、自然の排出にはあまり期待できません。
そこで、体内に放射性物質が入るのを抑制するために、あらかじめヨウ素剤を服用したり、ヨウ素を多く含む海藻をとることが必要とされます。
ただし、現在は放射性ヨウ素の放出が抑えられてきていますので、新たに大量の放出がされない限りここでは述べません。
なお、ヨウ素を取り込みやすい昆布やワカメなどの海藻類、藻類は、放射性ヨウ素やセシウムなども取り込んでしまいます。原発近辺の海ではきわめて高濃度のセシウム等が検出されていますので、産地を厳密に選ばないと逆効果になります。
次に、現在もっとも注意すべきなのが、魚や牛乳、茶、海藻などで高濃度に検出されやすいセシウム134、セシウム137です。
セシウムは、カリウムに似た性質をもつため、カリウムを多く含む食品をとることは、体外に放射性セシウムが入ってしまうことを抑制する効果があるとされています。
セシウム137の物理的半減期は30年ほどですが、排泄や代謝により自然に体外に排出される生物学的半減期は90日前後といわれます。セシウム134の物理的半減期は約2年です。
原発近辺の海ではきわめて高濃度のセシウム等が検出されていますので、産地を厳密に選ばないと逆効果になります。
次に、大気中への放出も原発からの距離が近いところではありますが、それよりも海への汚染水の放出により心配になっているのが、ストロンチウム89、ストロンチウム90です。現在、魚などの海産物に蓄積されることが懸念されています。
ストロンチウム90の物理的半減期は28.8年、生物学的半減期は50年と長く、体内に入ると骨などに蓄積され、骨や血液の病気を引き起こしやすいとされます。
ストロンチウムは、カルシウムに似た性質をもつため、カルシウムを多く含む食品をとることは、体外に放射性ストロンチウムが入ってしまうことを抑制する効果があるとされています。
放射性物質が体内に入り込んでしまったとき、甲状腺がん、その他の癌や白血病、心臓疾患、白内障、その他の病気を引き起こしやすくすることがいわれており、これに対し、体内の放射性物質が出す放射線に抵抗する力を高めるための各種栄養素、サプリメントの有効性を示す実験結果や論文が多く発表されています。
たとえばビタミンCが染色体異常などの放射線障害を抑制する、ビタミンA、Eなども放射線障害を抑制する、ミネラルやビールの成分が放射性物質の体外への排出を促進する、といったものがあります。その他、セレン、ベータカロテン、フラボノイド、等々、抗酸化成分の効用が示されていますが、このことについて詳述すると、サプリメントに関するページのようになってしまいますので、当サイトではこの程度にしておきます。
「放射線被ばくに関する公式声明 」(点滴療法研究会)2011.03.29
また、広島の原爆症を抑制する効果があったものとして、秋月辰一郎医師による、味噌や天然塩、玄米食の効用が認められ、チェルノブイリ原発事故の際には味噌が大量に送られました。
セシウムやストロンチウムを体外に排出されることを促進するサプリメントとして、チェルノブイリ原発事故後に使用され、データがとられて研究されているものとしては、下記のものが代表的です。
りんごペクチン(アップルペクチン)
スピルリナ(藻の一種)
フコイダン・アルギン酸ナトリウム(海藻成分)
ところが、海藻は、セシウムやストロンチウムを取り込んで、高濃度の汚染食品になってしまいやすいため、逆に要注意でもあります。実際、日本から韓国に輸出されたアルギン酸ナトリウムからセシウムが検出され、日本に積み戻されるということも起きました。
日本の輸入食品からセシウムを検出、放射線基準の強化も-韓国
「韓国の食品医薬品安全庁は12日、日本産の食品添加物から放射性物質のセシウムが事実上初めて検出されたことを明らかにした。複数の韓国のメディアが報じた。
パンやヨーグルトなどに使用されている「アルギン酸」から検出され、3月には異常なしのレベルだったセシウムが、今回は許可基準値の半分に近い41.9ベクレルだった。これは基準値以下であるが、輸入業者は自主的に日本へ返送したという。」
なお、アルギン酸は、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、食物繊維などとして食品に使用されるほか、化粧品その他の多用途に使用されるものです。
こういうことになりますと、海藻由来成分をはじめとする原材料の安全性が求められます。また、安全なものであっても、食生活のバランスを考え、本来は自然の食品から摂取する方が望ましく、それで足りないところを補うためのものといえます。
りんごペクチン(アップルペクチン)については、比較的安全性が確認しやすいため、当サイトにおいて紹介ページを設けました。
なお、玄米について、コメはぬか部分に放射性物質や有害物質を蓄積しやすいこともありますので、今年以降のコメの検査結果を見たいと思います。
