脱原発.jpトップページ > 家庭菜園ならどうか

家庭菜園をどうするか -2011年06月19日

東日本大震災、原発事故が起きる以前から、家庭菜園を楽しんでいた人も多いことでしょう。また、原発事故後に、安全な野菜を求めて、自分で育てたらどうかと考えた人もいるかと思います。

家庭菜園で採れる野菜が安全かどうか、土壌の放射性物質が気になり、その扱いに困っているケースも多いのではないでしょうか。
基本的には、その野菜を食べていいかどうかは、家庭菜園の近辺の産地の野菜を自分なら食べるかどうか、ということになります。

なお、セシウムなど半減期の長い放射性物質が現在の土壌には多く残留していることから、土壌中の放射性物質はまだ減少せず、長期にわたり残留します。
その一方で、最近は特定の種類を除き、セシウムなどの放射性物質が野菜からあまり検出されなくなりました。
この点については、土壌にはセシウムがほとんど残っているものの、植物があまり水と一緒に吸い上げなくなったことが推定されます。
初期には水溶性のセシウムは、植物が水とともに取り込みやすかったほか、現在でも特定の植物では、葉から取り込んだり(茶、シソなど)、実から取り込んだり(梅など)しています。牧草などからも高濃度でセシウムが検出されています。

しかし、大半の野菜類は、根からはもうあまりセシウムを取り込んでいません。
その理由は、土(鉱物)と吸着してしまったために、根からは取り込めなくなった可能性があげられます。

それでも、土壌中にセシウムなどが残っていると、地面からは放射線を浴びますし、植物によっては根から吸い上げて取り込みやすいものもあるかもしれず(今後、検出される種類もあるかもしれず)、心理的にも気持ちのよくないものです。

そこで、農地の土壌改良などの様々な文献にあたり、家庭菜園についての対処法を考えてみました。
なお、農地の改良や、原発から50km前後圏内などのあまり離れていない地域では、対処方法は専門機関などに相談されるべきだと思います。

家庭菜園の対応については、下記の考え方ができます。

(1)表土を物理的に取り除く
事故からまだ数か月の段階では、セシウムは表面から1cm以内に集中し、土壌にもよりますが、土壌の鉱物(特に雲母)に化学反応および形状によって吸着され、雨が降っても年間1cm前後しか地中には浸み込まないというデータがあります。
そこで表土をごく薄く取り除ければいいのですが、デコボコの畑などでは困難が伴います。(平らで堅い校庭などの地面では削り取りやすいかもしれません)

・芝生、牧草などをびっしりと植え、ある程度育ったら根っこごと引き抜いて、根についた土を取らずに土ごと捨てる方法。(当サイト試案)

(2)植物によって、放射性物質を土壌から取り除く
・放射性物質を取り込みやすい植物を植え、育ったら処分することにより、土壌中の放射性物質を減少させる方法。
 菜種、ホウレンソウ、大豆、ヒマワリ、牧草、等。
 ※ただし言われているほどの効果はなく期待薄である可能性。

・上記(1)の、芝生、牧草などをびっしりと植え、ある程度育ったら根っこごと引き抜いて、根についた土を取らずに土ごと捨てる方法の併用。

・汚染度合がそれほど高くない場合などには、根ごと捨てるのではなく、芝生などをびっしりと植え、育ったら短く刈り取り、伸びたらまた刈り取ることを繰り返す方法。

・植物が放射性物質を取り込むことを促進させるため、セシウムと土壌(鉱物)との結合を弱める方法の併用(アンモニア肥料)

(3)ゼオライト等によって、放射性物質を土壌から取り除く
・放射性物質を取り込みやすい物質(ゼオライト等)を土壌にバラまきし、ある程度の期間経過後に、取り除いて処分し、土壌中の放射性物質を減少させる方法。
 大きめの粒のゼオライトを使用し、後日、フルイ、熊手などで取り除く(当サイト試案、やや困難か)。
 網袋入りのゼオライトを使用し、後日、取り除く(当サイト試案)。
 ※ただし、言われているほどの効果はない可能性。

(4)植物が放射性物質を取り込むことを抑制する方法
・カリ肥料を施すことにより、植物をカリウムで満たし、カリウムに性質の似たセシウムを吸収することを抑制する。
・ゼオライトを土壌にバラまきし(この場合は細かいものでも、網袋など使わずに直接まいてもよいが、回収不可能)、土壌中のセシウムを吸着させ、植物が水とともに吸収することを抑制する。

それぞれの方法については、下記に詳しく説明いたします。

なお、上記(2)と(4)は逆の考え方なので、同時には併用はできません。
(2)の方法で十分に除去できたと思われるようになったら、(4)の方法を使用することはできるかと思います。

当サイトでは、
芝生、牧草などをびっしりと植え、ある程度育ったら根っこごと引き抜いて、根についた土を取らずに土ごと捨てる方法
放射性物質を取り込みやすい植物を植え、育ったら処分することにより、土壌中の放射性物質を減少させる方法
の併用が、現段階で最も家庭菜園では適しているように思います。
手間がなるべくかからず、作物を植えて育てるのと並行して、作物の周りに牧草などをびっしりと植えるということもできるかと思います。

廃棄物処理について

次に、上記の方法により、放射性物質を含む土壌、放射性物質を吸収した植物、あるいはゼオライトの処分が問題となります。
土壌中の放射性物質濃度が高い地域においては、行政に相談する必要があろうかと思います。

放射性物質の濃度が低い地域(たとえば年間被曝量が年間1ミリシーベルト以下)において、処分する量が多ければ、ごみ収集について率直に行政に相談するべきかと思います。少量であれば、通常のごみとして扱えるのではないかと思いますが、その理由は以下の通りです。
・そもそも、公的機関が”安全だ”という地域であること。
・表面の土壌を処分するとしても、そこから発生する放射線量は、もともと存在した地面からの放射線量と同じであり、周囲より高い放射線量の物質を捨てるわけではないこと。
・植物やゼオライト等が放射性物質を吸収し、それらを処分するとしても、袋に入れるなどしてまとめた状態とするならば、そこから発生する放射線量は、もともと存在した地面からの放射線量と同じであり、周囲より高い放射線量の物質を捨てるわけではないこと。

他のサイトへ放射性物質が検出された野菜等の廃棄方法について(Q&A)
「 出荷制限措置がなされた野菜の処分については、次のように地域ごとにそれぞれの対応をすることになりました。
1 福島県以外の地域
出荷制限に伴いこれまで保管してあった野菜は、通常の一般廃棄物として処分してよい(埋却、自治体が定める処分方法等)。
なお、農業用被覆資材等についても、これまでどおり通常の産業廃棄物として処分してよい。」

家庭菜園をどうするか
家庭菜園をどうするか
(1)表土を物理的に取り除く
(2)植物によって、放射性物質を土壌から取り除く
(3)ゼオライト等によって、放射性物質を土壌から取り除く
(4)植物が放射性物質を取り込むことを抑制する方法

参考サイト:
他のサイトへ
Doc:Radiation/Phytoremediation
日本土壌肥料学会
WINEP
土壌の放射能汚染をどう考えるか

(1)表土を物理的に取り除く -2011年06月17日

事故からまだ数か月の段階では、セシウムは表面から1cm以内に集中し、土壌にもよりますが、土壌の鉱物(特に雲母)に化学反応および形状によって吸着され、雨が降っても年間1cm前後しか地中には浸み込まないというデータがあります。

「放射能汚染から土壌を守るためには、まず、放射性降下物をできるだけ地上部にとどめ、土中に移行させないことである。野菜農家で栽培している野菜が畑にある場合はそれを引き抜かないで放置し、畝などをマルチする。果樹農家であれば下草を刈って敷草にし、さらにその上を稲わらなどで樹冠下の全域をマルチする。いずれの場合も雑草は抜かない。こうすることで、放射性降下物のかなりの部分が雑草や敷草に吸着し地上部にとどまることになる。
 放射能汚染から土壌を守る基本の第二は、放射性降下物を土中深くに移行させないことである。
 販売できなくなった野菜や肥料などを鋤き込んだりすると、表土上部に分布しているセシウムがより深い位置に移動することになる。これはファイトレメディエーション(後述)を難しくするだけでなく、将来の客土や天地返しを困難にする。」

他のサイトへ土壌の放射能汚染をどう考えるか

下記は、土壌中でのセシウム137の垂直分布例を示しています。
2011062205.jpg

「チェルノブイリ事故後の東欧や北欧における調査によると、Cs-137が土壌下方へ進む速度はほとんどの場合年間1 cm以下であり、事故から7年後に表層から10cm以内に78-99%が残っていると報告されている(Arapisら, 1997)。一方で、有機物に富む土壌や砂質な土壌では、Cs-137が土壌下方へ進む速度が比較的大きいことも報告されている(Rosénら, 1999)。なお、降水量の多い日本の土壌においても1960年代に沈着した大気圏核実験由来のCs-137は表層土壌に蓄積しており、表層から30cmよりも深いところではCs-137はほとんど検出されていない(Fukuyamaら, 2004)。Cs-137降下後に耕起された農地では、Cs-137は耕作土層にほぼ均一な濃度で分布する(Tsukadaら, 1999)。」

他のサイトへセシウム(Cs)の土壌でのふるまいと農作物への移行(日本土壌肥料学会)

土壌の浄化処理をする前には、耕したりしてしまうと、その分だけ地表面にあったセシウムが掻き混ぜられて深いところにもいってしまうことがわかります。
処理に手をつける前に、どういう方針で行うかの計画が必要になります。

なお、セシウムは、特に地表面付近にとどまりやすく、
「土壌粒子の表面は、負に帯電している。土壌中で1価の陽イオンとしてふるまうCsは、カリウム(K)やカルシウム(Ca)などの陽イオンと同様に、この負電荷を中和するかたちで土壌表面にとどまる性質を持つ。土壌の負電荷は、有機物や粘土鉱物に由来している。」
一方、ストロンチウムは、地表面付近にとどまるものの、動きやすく、
「放射性Srは原子炉から環境中に放出された後、土壌に沈着しCaと同様に2価の陽イオンとしてふるまう。土壌は負の電荷を帯びているため、正荷電を帯びた陽イオンをひきつけ、土壌表面に留める性質がある。Csは土壌中に移動した後、次第に粘土鉱物に取り込まれ離れにくくなる。ところがSrは、Csに比べ土壌中で動きやすく、Caと極めて類似した挙動を示す。」
「2001年に圃場から採取した土壌中Sr-90とCs-137の鉛直濃度分布では、Sr-90は1 m以深まで下方浸透しているが、Cs-137は表層耕作層に留まっている例がある(塚田ら, 2006)。このようにSr-90は、土壌中においてCs-137により動きやすいことが知られている。」
との報告があります。

他のサイトへ放射性ストロンチウム(Sr)の土壌-作物系での動きに関する基礎的知見(日本土壌肥料学会)

そこで表土をごく薄く取り除ければいいのですが、デコボコの畑などでは困難が伴います。
平らで堅い校庭などの地面では削り取りやすいかもしれません。トンボなどで表面を削り取る、福島の学校の校庭でも行っていた方法です。なお広い農地等では、ブルドーザーを使う方法もありますが、大規模な土壌改良や、高濃度汚染地域での土壌改良については、当サイトの取り扱い範囲を超えていますので、専門機関への相談をお勧めいたします。

いろいろ考えた末、当サイトでは、下記の方法を考えました。

芝生、牧草などをびっしりと植え、ある程度育ったら根っこごと引き抜いて、根についた土を取らずに土ごと捨てる方法

手間がなるべくかからず、また原発事故が終息しない中で表土をはぎとってしまっていいのか様子見の状況では、この方法が適しているのではないかという理由からです。
また、畑を耕したりせず自然のままで作物を栽培する「不耕起栽培」という方法であれば、作物を植えて育てるのと並行して、作物の周りに牧草などをびっしりと植えるということもできるかと思います。
(あくまでも家庭菜園レベルでの話です。作物の生育への影響などもありますので、農業のレベルの話ではありません。)

家庭菜園をどうするか
家庭菜園をどうするか
(1)表土を物理的に取り除く
(2)植物によって、放射性物質を土壌から取り除く
(3)ゼオライト等によって、放射性物質を土壌から取り除く
(4)植物が放射性物質を取り込むことを抑制する方法

(2)植物によって、放射性物質を土壌から取り除く -2011年06月16日

「ファイトレメディエーションとは、セシウムやストロンチウムの集積能力が高いヒマワリなどの作物を連作あるいは輪作して土壌のセシウムを早期に植物体に収奪する方法である。」

他のサイトへ土壌の放射能汚染をどう考えるか

放射性物質を取り込みやすい植物を植え、育ったら処分することにより、土壌中の放射性物質を減少させる方法
ヒマワリを植えてセシウム等を吸わせるという方法はよく提唱されており、福島では実験も行われています。
セシウム等を吸収しやすい植物としては、菜種、ホウレンソウ、大豆、ヒマワリ、牧草、等が知られています。

「ヒマワリは浅根性で根が土壌に浅く広く分布するので、土壌の表面に集積して動かないセシウムをよく吸収し、土壌から収奪する。種子も比較的入手しやすく、栽培すると個体が2m以上にもなる。セシウムとともにストロンチウムもよく吸収するようなので、放射能による汚染土壌の浄化用植物としてはたいへん適している。
 ファイトレメディエーションとして植物を利用する場合、無カリ肥料で育てたほうがよい。前述のようにカリ欠乏は植物によるセシウムの吸収を促進すると同時に地上部への移行も促進するからである。日本の土壌はカリ欠乏が起こりにくいので、無カリにして生育させても、生育の極端な阻害は起こらない。もちろん収穫物は、食用には供しない。」(土壌の放射能汚染をどう考えるか)

その他、セシウムを吸収しやすい植物としては、
「実際のCs-137汚染土壌における試験では、アマランサス(Fuhrmannら, 2003)、ビート(Evansら, 1968)、アオゲイトウ(Lasatら, 1998; Fuhrmannら, 2003)等の植物地上部への吸収量が多かったとの報告例がある。」
とのことです。

他のサイトへセシウム(Cs)の植物移行とそのメカニズム

ところが、ヒマワリ等を使ったこの方法で、きわめて良好な吸収結果を出しているのは、水耕栽培による実験であり、実際の土壌での効果はそれほど期待できないのではないかとの説がかなり有力です。
水耕栽培で、水中のセシウムが24時間で98%程度吸い上げられた、ストロンチウムについても96時間ではほぼ100%近くがヒマワリに吸収されたという実験結果があります。
福島原発事故直後でも、雨に混じって降ったばかりの状態では、セシウムが植物によく吸収されたことが推察されます。野菜でも初期には高濃度に検出されました。
ところが、セシウム137は半減期が約30年と長いのに、急速に野菜からは検出されにくくなっています。

「土に入ってきたセシウムはカリウムと同じ様にプラスの手(荷電)をひとつもった陽イオンとしてふるまいます。一方、土はマイナスの手(荷電)を持っているため、プラスの陽イオンを引きつけてとどめる性質があります。さらに、土の中の粘土に含まれる鉱物(粘土鉱物)には色々な種類がありますが、その中には、セシウムを閉じ込めるのにちょうどいい大きさの穴を持つものがあります。このため、セシウムは他の陽イオンに比べ、土にしっかり保持されて、離れにくくなります。土に降った放射性セシウムの70%が、粘土鉱物に強く保持されるという研究結果も報告されています。」

他のサイトへ放射性セシウムに関する一般の方むけのQ&Aによる解説

「何もしなければセシウムは急速に土壌に固着する
 今後のことを考えれば、降下した放射性セシウムが土壌と徐々に反応して、水不溶性になっていく速度がどれくらいかということが問題である。
財・環境科学技術研究所の塚田ら(2010)の実験によれば、水で抽出される土壌中のセシウムの割合は添加後わずか10日で0.1%にまで低下する。その後は2年間で0.02%ぐらいまで低下する。」
(土壌の放射能汚染をどう考えるか)

「Q6. 土の中にある放射性セシウムは、作物に吸収されますか?
A6. 根から吸収されますが、土に入ったセシウムの大部分が粘土鉱物に強く保持されるため、作物が吸収するセシウムの量は、土に入ってからの経過日数とともに減っていくことが報告されています。
 土に入った放射性セシウムは、土の中の粘土鉱物などに強く保持されます(Q4に対する答えをご覧下さい)。そのため、土から水に溶け出す放射性セシウムの量は時間とともに減っていきます。作物は根から主に、水に溶けている養分を吸収するので、作物が吸収するセシウムの量も、同時に減っていきます。また、土から作物へ吸収される放射性セシウムの量は、作物の種類によっても大きく異なります。」
(放射性セシウムに関する一般の方むけのQ&Aによる解説)

そうすると、作物が期待ほどにはセシウムを取り込むことができず、ヒマワリでも土壌中のセシウムの1%も吸収できないという実験結果があります。
なお、「この報告では、セシウムの蓄積量がヒマワリ (H. annuus) よりもカラシナ (Brassica juncea) のほうが良く、除去できるセシウムの量はアマランサス(ヒユまたはケイトウ)類がヒマワリの10倍優れています。」とのことです。それでも、土壌中のセシウムの2%にも届きません。

2011062207.jpg

他のサイトへDoc:Radiation/Phytoremediation

なお、土壌の質などによっても左右されるかもしれませんが、下記の図に示されるように、また福島原発事故後、各地で牧草に高濃度のセシウムが検出されたように、牧草の吸収率が日本の土壌には適していることが示唆されます。

2011062206.jpg
(土壌の放射能汚染をどう考えるか)

「牧草は土から葉へのTF値が0.14と高いので、30 ~ 40cmぐらいになったら刈り取ることを3 ~4回繰り返して、最後には土ごと引き抜いて畑の一角に山積するといい。そしてまたすぐに、播種を繰り返す。牧草は低温に強いので、一年中作付けできる利点がある。場合によっては、一年中ヒマワリと牧草の輪作をすれば、収奪の速度が高まるだろう。」
(土壌の放射能汚染をどう考えるか)

どうも牧草が期待できそうですが、ようやく牧草によって土壌中のセシウムの10%以上(上記実験結果では14%)が吸収されることになります。
上記の文章中の「ヒマワリ」は、好きな植物・作物に置き換えて、好きな作物と牧草の輪作としても大きな問題はないでしょう。

なお、ストロンチウムについては、土壌に固着するものの、セシウムよりは地面に浸み込みやすいとされています。
「ストロンチウムは二価の陽イオンだが、セシウムと異なり、ほとんどが粘土鉱物とイオン結合しているので、雨が降ると雨水の水素イオンとストロンチウムが交換して、フリーになったストロンチウムイオンが徐々に下方移行する。」
(土壌の放射能汚染をどう考えるか)

そうすると、原発事故の終息を待たず、早めに牧草などを植えた方がいいこと、またヒマワリその他の作物など、牧草より根の長い植物を並行して植えたほうがいいことが示唆されます。

したがって、当サイトでは、
芝生、牧草などをびっしりと植え、ある程度育ったら根っこごと引き抜いて、根についた土を取らずに土ごと捨てる方法

放射性物質を取り込みやすい植物を植え、育ったら処分することにより、土壌中の放射性物質を減少させる方法
との併用を推奨し、作物を植えて育てるのと並行して、作物の周りに牧草などをびっしりと植えるということが現実的に家庭菜園で行いやすい方法ではないかと思います。
作物は、低濃度汚染地域であれば食することができるかもしれず、そうでなければ観賞用にすればよいでしょう。

なお、汚染度合がそれほど高くない場合などには、下記の方法を採用することも効果があるかと思います。
根ごと捨てるのではなく、芝生などをびっしりと植え、育ったら短く刈り取り、伸びたらまた刈り取ることを繰り返す方法
放射性物質を除去するスピードは少しずつということになりますが、粉塵が舞い上がるのを防ぐ効果はあります。ただこれは、菜園というよりは、庭や運動場などで用いる方法といえます。

また、樹木については、葉や実などに放射性物質が移行しますので、当分は堆肥などにせず処分するのがよいかと思います。

植物が放射性物質を取り込むことを促進させるため、セシウムと土壌(鉱物)との結合を弱める方法の併用

上述したように、土壌とセシウムが固着してしまうと、植物が吸収しにくくなってしまうため、少しでもこの吸着を和らげて、作物がセシウムを吸収しやすくする方法がないこともありません。

「アンモニア系肥料(硫安、塩安、硝安)が植物体へのセシウム吸収を3 ~ 5倍に促進するのは、土壌中でセシウムが粘土鉱物と吸着しているのを、アンモニアイオンがセシウムイオンとイオン半径が似ているために、まだ緩く粘土鉱物とイオン結合したり雲母と吸着したりしているセシウムイオンを溶出させるため、セシウムが植物根から吸収されやすくなることによると考えられている。」
(土壌の放射能汚染をどう考えるか)

なお、「カリウム系の肥料(塩化カリ、硫酸カリ)が植物体へのセシウム吸収を26 ~ 41%に抑制する」とのことですので、当サイトで説明する「(2)植物によって、放射性物質を土壌から取り除く」と「(4)植物が放射性物質を取り込むことを抑制する方法」とは逆の考え方なので、同時には併用はできません。
(2)の方法で十分に除去できたと思われるようになったら、(4)の方法を使用することはできるかと思います。

家庭菜園をどうするか
家庭菜園をどうするか
(1)表土を物理的に取り除く
(2)植物によって、放射性物質を土壌から取り除く
(3)ゼオライト等によって、放射性物質を土壌から取り除く
(4)植物が放射性物質を取り込むことを抑制する方法

(3)ゼオライト等によって、放射性物質を土壌から取り除く -2011年06月15日

ゼオライトに、セシウムなどの放射性物質を吸着させる効果があることから、ゼオライトを利用した土壌改良方法が模索されています。

「ゼオライトやベントナイト等の粘土鉱物資材が土壌中のCs保持力を高め、植物へのCs吸収を低減化する効果も報告されている」
(土壌の放射能汚染をどう考えるか)

この場合、ゼオライトが放射性物質を吸着させた後に、そのゼオライトを除去しようとするのであれば、除去しやすい方法をあらかじめ考えておく必要があります。ゼオライトには、小石大のものから、もっと細かい粒子状のものまでが販売されており、粒子状のものでは後からの回収は不可能です。
そこで当サイトでは下記の方法を考えました。

放射性物質を取り込みやすい物質(ゼオライト等)を土壌にバラまきし、ある程度の期間経過後に、取り除いて処分し、土壌中の放射性物質を減少させる方法

大きめの粒のゼオライトを使用して、家庭菜園にばらまきします。セシウムなどは地表面近くに存在していますので、深く埋めることはせず、ばらまきした後に上から踏みつけて地中に入れる程度でいいのではないかと思います。

後日の回収は、フルイ、熊手などで取り除くほかありません。

もう1つ別の方法は、観賞魚に入れる水槽用などで販売されていることがありますが、網袋入りのゼオライトを、網袋入りのまま使用し、地表面にばらまきします。
後日、網袋入りなので回収は簡単ですが、まんべんなく敷き詰めるのは大変で、作物を育てながらの場合には、ところどころに置くことになるでしょう。

ただし、最近の野菜でのセシウム検出状況から推測すると、ゼオライトを使った方法はあまり効果を上げないのではないかと感じられます。
セシウム137は半減期が約30年と長いのに、急速に野菜からは検出されにくくなっています。

「土に入ったセシウムの大部分が粘土鉱物に強く保持されるため、作物が吸収するセシウムの量は、土に入ってからの経過日数とともに減っていくことが報告されています。」
(放射性セシウムに関する一般の方むけのQ&Aによる解説)

ゼオライトを使ってセシウムを吸着させるまでもなく、もう既に、土壌の細かい粒が、特に雲母などの粒が、セシウム等を吸着させてしまったのではないでしょうか。

そうだとした場合、「(2)植物によって、放射性物質を土壌から取り除く」で記載した方法が最善だと思われます。

家庭菜園をどうするか
家庭菜園をどうするか
(1)表土を物理的に取り除く
(2)植物によって、放射性物質を土壌から取り除く
(3)ゼオライト等によって、放射性物質を土壌から取り除く
(4)植物が放射性物質を取り込むことを抑制する方法

(4)植物が放射性物質を取り込むことを抑制する方法 -2011年06月14日

最後に、土壌を(1)~(3)の方法で浄化した後に、あるいは土壌浄化をあきらめた場合に、まだ残っている放射性物質を、菜園の作物が根から吸い上げて吸収してしまわないように、これを抑制することを考えます。

カリ肥料を施すことにより、植物をカリウムで満たし、カリウムに性質の似たセシウムを吸収することを抑制する

「カリウム系の肥料(塩化カリ、硫酸カリ)が植物体へのセシウム吸収を26 ~ 41%に抑制するのは、今日の植物分子生物学の知見では次のように推定される。カリウムは稲の根で吸収されてから、導管に放出されて地上部に移行するときにカリウムイオンのトランスポーターを使う。そのため、根にカリウムがたくさん吸収されると、この膜輸送の時にカリウムがセシウムと拮抗して、セシウムの根から地上部への移行が阻害される。ただしこれは現段階ではあくまで推定である。」
(土壌の放射能汚染をどう考えるか)

「土壌溶液中のK濃度が低い場合、植物によるCsの吸収が促進されることが知られている(Shaw, 1993; Smoldersら, 1997)。そのため、特にK肥沃度の低い土壌において、K施肥によるCs移行低減効果が大きい(Lembrechts, 1993; Nisbet ら, 1993; IAEA, 1994)。酸性の土壌では、石灰中和によってCsの移行低減効果が認められている(Nisbetら, 1993)。」

他のサイトへセシウム(Cs)の土壌でのふるまいと農作物への移行(日本土壌肥料学会)

「Q7. 土から作物への吸収を少なくする方法はありますか?
A7. 土のカリウムの濃度が高いほど、放射性セシウムが作物へ吸収される量が少なくなるという研究事例があります。
 土には、チッ素(N)、リン(P)、カリウム(K)の肥料が必要とされます。この3つの肥料のうち、カリウムを与えないと作物が吸収する放射性セシウムの量が増え、堆肥を畑に入れると減るという報告があります。このような研究から、作物への吸収をより少なくするような農耕地の肥培管理のできる可能性があります。」
(放射性セシウムに関する一般の方むけのQ&Aによる解説)

上記の方法は、十分に有効であると思われます。

もう1つ別の方法は、ゼオライトに、セシウムなどの放射性物質を吸着させる効果があることから、ゼオライトを利用して、セシウム等を吸着させ作物が吸い上げないようにする方法です。

放射性物質を取り込みやすい物質(ゼオライト等)を土壌にバラまきし、植物が放射性物質を取り込むことを抑制する方法

「ゼオライトやベントナイト等の粘土鉱物資材が土壌中のCs保持力を高め、植物へのCs吸収を低減化する効果も報告されている」
(土壌の放射能汚染をどう考えるか)

この場合、ゼオライトが放射性物質を吸着させた後に、そのゼオライトを除去することはあきらめて、細かい粒子状のゼオライトを土壌に混ぜることになります。
ゼオライトを土壌にバラまきし、土壌中のセシウムを吸着させ、植物が水とともに吸収することを抑制することを期待します。

なお、「アンモニア系肥料(硫安、塩安、硝安)が植物体へのセシウム吸収を3 ~ 5倍に促進する」とのことですので、当サイトで説明する「(2)植物によって、放射性物質を土壌から取り除く」と「(4)植物が放射性物質を取り込むことを抑制する方法」とは逆の考え方なので、同時には併用はできません。
(2)の方法で十分に除去できたと思われるようになったら、(4)の方法を使用することはできるかと思います。

ただし、最近の野菜でのセシウム検出状況から推測すると、ゼオライトを使った方法はあまり効果を上げないのではないかと感じられます。
ゼオライトを使ってセシウムを吸着させるまでもなく、もう既に、土壌の細かい粒が、特に雲母などの粒が、セシウム等を吸着させてしまったのではないでしょうか。

そうだとした場合、やはり、「(2)植物によって、放射性物質を土壌から取り除く」で記載した方法が最善だと思われます。

家庭菜園をどうするか
家庭菜園をどうするか
(1)表土を物理的に取り除く
(2)植物によって、放射性物質を土壌から取り除く
(3)ゼオライト等によって、放射性物質を土壌から取り除く
(4)植物が放射性物質を取り込むことを抑制する方法