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生体濃縮のしくみ -2011年05月30日

「死の灰は、たとえば牧草の上に降りつもります。そして牛がこれを食べます。牛は放射性のヨウ素やセシウムで汚染してゆきます。それを、具合の悪いことに、ミルクの中に出してゆくのです。なぜミルクの中に出るかというと、母牛は自分の子どもを育てるのに最高の栄養を与えようとする母性本能にしたがって、ミルクの中に自分のすべてを注ぎ込むわけです。それで栄養価が高くなり、牛乳はおいしいと思って私たちが飲むわけです。ですからこのミルクのなかに、おそろしいヨウ素やセシウムが大量に濃縮しました。」
(広瀬隆・著「新版 危険な話」(新潮文庫)平成元年 132ページ)

「あるいは死の灰が地上に降りつもり、そのあと雨や雪に流されて川に入ります。それが沼や湖に流れ込み、このような所に蓄積してたまります。そのとき農業用水が、すべてこれらの川や湖から取水されていることを思い返してください。
 さらに、これが流れ出して、海を汚染してゆきます。そして地下水は伏流水によって川や湖の底とつながっています。ですから水はぐるぐる循環している状態です。こうしてチェルノブイリ事故で汚染された水にサンドイッチのようにはさみこまれて、私たちの食べる作物ができているわけです。」
(広瀬隆・著「新版 危険な話」(新潮文庫)平成元年 133ページ)

「ノーマン・ランズデルの著書『原子力とエネルギー革命』の中にこういう話が書かれています。アメリカのコロンビア川というところで、ある科学者が放射能を測定してみました。この川の川上に、さきほど申しあげましたが、プルトニウムの核爆発を危機一髪で免れた、ハンフォード再処理工場という原子力プラントがあります。川に流れ出して来る放射性物質は微量かもしれません。川の水のなかの濃度を一としますと、プランクトンでニ〇〇〇倍、そのプランクトンを魚が食べてゆくと一万五〇〇〇倍、そして川辺によちよち歩いていたアヒルがこの魚をたくさん食べますから、なんと四万倍に濃縮してくる。こういうデータがあります。それからこの川辺の水鳥が、卵の黄身になんと一〇〇万倍の濃縮を起こしていたというのです。」
(広瀬隆・著「新版 危険な話」(新潮文庫)平成元年 135ページ)

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(広瀬隆・著「新版 危険な話」(新潮文庫)平成元年 136ページ)